不妊治療をどこまで続ける?〜夫婦で決めた治療のやめどき〜

不妊治療

不妊治療には、明確な“ゴール”がありません。

続けることも、やめることも、正解があるわけではなく、その選択に悩む方は多いのではないでしょうか。

私たち夫婦も、不妊外来を受診してPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断されてから、人工授精、体外受精とステップアップしながら治療を続けてきました。

「いつまで治療を続けるか?」

「もし妊娠できなかったら、どうするか?」

そんな問いに向き合い、夫婦で話し合って決めた“治療のやめどき”について、今回は私たちの体験を正直に綴っていきたいと思います。

不妊外来で「PCOS」と診断されてから

不妊外来を受診した際、「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の傾向がある」と診断されました。
それまで半年間タイミング法を続けていましたが、医師からはこう言われました。

「人工授精(AIH)から始めた方が妊娠に近づく可能性があります」

また、人工授精の前には卵管造影検査を勧められました。
卵管に詰まりがあると人工授精の効果が見込めないため、事前に確認しておく必要があるとのことでした。

PCOSとは、卵胞の成長が途中で止まり、卵巣内に小さな卵胞(嚢胞)が複数とどまってしまう疾患です。
私は治療として、メトグルコ(メトホルミン)の内服を始めることになりました。

こうして、PCOS治療、卵管造影検査、そして人工授精——。
初診から一気に不妊治療が本格化していきました。

人工授精という“次のステップ”

医師から「人工授精を試してみましょう」と提案されたとき、正直なところ気持ちが追いつきませんでした。

人工授精(AIH)は、排卵のタイミングに合わせて洗浄・濃縮した精子を子宮内に注入する方法。
自然妊娠よりやや妊娠率は上がるものの、1回で成功するとは限らないという説明を受けました。

私は「まずはタイミング法で…」と考えていたのですが、治療内容や費用を自分でも調べるうちに

「後悔しないためにも、ステップアップしてみよう」

と気持ちを切り替えることができました。

治療のストレスと向き合って

納得して治療を始めたものの、ストレスがまったくないわけではありませんでした。

排卵に合わせて通院し、仕事を調整しながら毎月結果を待つ日々。
頑張っても結果が出ないときの虚しさや焦り、不安は想像以上でした。

採血や検査も、必要なことだと頭では理解していても、痛みや時間がかかるたびに

「これって意味あるのかな…」
「どうせまた妊娠しないんじゃないか…」

と、ネガティブな気持ちになることも多くありました。

体外受精を勧められて、夫婦で決めたこと

人工授精を3回終えたころ、医師から次のステップについて話がありました。

「人工授精を5〜6回行っても妊娠しない場合は、体外受精を考えても良いかもしれません」

この言葉をきっかけに、私たちは改めて、治療の“やめどき”について夫婦で話し合いました。

そして出した結論は、妊活を始めた頃に話していた内容と同じ。

「保険適用内の回数(人工授精6回・体外受精3回)を目安にして、それでも妊娠しなければ治療をやめる」

この決断は“あきらめ”ではなく、“自分たちの選択”

治療を「続ける」のも、「やめる」のも、どちらも勇気のいることです。

「妊娠するまで頑張らなきゃ」
気づかないうちに、そんな考えに縛られていました。
夫婦の会話も、いつの間にか「治療」と「子ども」の話ばかりに…。

そんなとき、夫が言ってくれたのがこの一言でした。

「もし子どもができなかったら、そのときはそのときで、2人で別の楽しみを探していこうよ」

その言葉に、私はハッとしました。

「子どもがいるから幸せ」——そう決めつけていたけれど、
「この人と2人でも、私は幸せだ」と心から思えたのです。

だからこそ、自分たちで考えて納得した選択なら、どんな結果になってもきっと後悔しない。
そう信じています。

いま、同じように悩んでいる方へ

不妊治療は、時に終わりの見えないトンネルのように感じることがあります。

でも、「どこまで治療を続けるか」「やめどきはどこか」を夫婦で話し合っておくことで、
気持ちに一本の軸が生まれると感じました。

「やめるかもしれない」という選択肢があったからこそ、
「いま、この1回を頑張ろう」と前向きに治療と向き合うこともできました。

さいごに

不妊治療に、“正解”はありません。

でも、自分たちのペースで、自分たちが納得できる形で進めていくことが、なによりも大切だと今は感じています。

だからこそ、治療のステップアップに悩んだときや、やめどきに迷ったときは、
まず夫婦でたくさん話し合ってみてほしい。

この記事が、同じような気持ちで悩んでいる方のヒントや心の支えになれたら嬉しいです。

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